カナダは多文化主義で、さまざまな文化背景や宗教を信仰した人たちがたくさん住んでる国。
他国に比べて差別が少ない国として有名なカナダですが、私がカナダのワーホリ時代に驚くような人種差別される出来事を目の当たりにしたことがあります。
実際に私が差別を受けたわけではなく、当時付き合っていたカナダ人の彼氏が母国であるカナダで差別を受けました。
母国の人間ですら差別を受けてしまう出来事が、あまりにも私の人生の中で衝撃的でもあり、ショックな出来事でもあったので、皆さんにも共有したいと思います。
どんなに優しい人たちの多い国でも、差別はどこにでもある。
そんなことを実感したお話です。
私が目の当たりにしたカナダでの差別
今回お話する人種差別を目の当たりにした出来事が起きたのは、私がカナダに滞在していた5月の終わりごろ。
誤解のないようにお伝えしますが、
今から話す出来事は、私が差別を受けたのではなく、当時付き合っていた生まれも育ちもカナダの彼氏が受けた差別の話です。
当時付き合っていたカナダ人彼氏と私は、バンクーバー島のトフィーノという小さな町に住んでいました。
私と元カレ、そして私たちの友達たち4人で、ブリティッシュコロンビア州のオカナガン地方にあるケロウナという町に、ロードトリップした時のことです。
この旅では、友達が車を出してくれて、友達の運転でみんなでワイワイしながらケロウナへ向かっていました。
ケロウナに到着したあと、お腹が空いた私たちは、その日宿泊するホステルから、車で5分ほにあるドミノピザまでピザをテイクアウトして食べることに。
私の元カレは、過去にケロウナに住んでいたことがあって、ケロウナに何があるか把握をしていました。
ケロウナの土地勘が私たちよりもわかっていた元カレが代表して、友達の車を借りてドミノピザに買いにいくことに。
そして、付き添いで私も元カレと一緒にドミノピザへ同行しました。
ドミノピザにいくときはすでに日が暮れていて、雨が降って天気がとても悪かったことを覚えています。
暗闇と雨の中、ドミノピザへ向かい、ピザを買ったあとは、行きとは違う道でホステルに車で戻ることに。
道の途中で、警察官が検問をしていました。
検問に止められる
検問をしている姿を見ながら、私たちが警察官の前を通りすぎようよとすると、警察官からストップをかけられました。
「検問しているから停められるよね」くらいに、特になにも気になることもなく、私たちは車を停めて車の窓を開けます。
検問をしていたのは、女性の警察官。
ハロー。今どこに向かってるの?
今宿泊しているホステルに戻ってる途中だけど。
お酒は飲んでいない?
お酒は飲んでいないよ。
お酒の摂取量を計る機械で、お酒飲んでいるのか確認するのかと思いきや、女性警官はこんなことを言ってきました。
あなたここの人じゃないわよね?ケベック州からでしょ?
何を思ったのかこの女性警官は、ただ彼がホステルに戻っている途中と言っただけで、彼をみるなり急にケベック出身かどうか聞いてきたのです。
何の前触れもなく、彼を見た目で判断していました。
ですが、警察官がそんな風に言うにも理由があります。
ケロウナには、ケベック州出身の人たちが多く滞在しています。
なぜかというと、ケロウナのあるオカナガン地方は、ワイナリーやフルーツのファームが盛んです。
ファームジョブを求めて、ケベック州から来る人がすごく多いのです。
フルーツのピッキングをしている人たちは、ヒッピーの風貌の人が多く(髪の毛がドレッドで、麻の服を着ているような人が多い)、彼も例外ではなくドレッドヘアをしていました。
さらに、ケロウナは農業の街だけでなく、リゾート地でもあります。
夏のシーズンになると、仕事を求める人だけでなく、国内からたくさんの人たちがケロウナにやってきて、毎晩パーティでにぎやかになります。
パーティーでバカ騒ぎをして、迷惑をかける行為をする人の多くに、ケベック出身の人もたくさんいると話を聞いたことがありました。
それだけでなく、歴史的背景を理由に、単純にケベック州の人が好きじゃない、という人がいるという話も聞いていました。
私は、見たまんまを口にする警察官の態度に、なんだかすごく嫌な予感がしました。
そして、元カレはこう言います。
急にそんな質問してくるのは失礼じゃないですか?僕がケベック州出身で何か問題でもあるんですか?
女性警官は、元カレが放った答えが気に入らなかったのか、彼女の表情が一気にすごく険しくなりました。
私たちの乗っている車を見渡して、彼女はこう言いました。
ナンバープレートが片面にしか張られていないじゃない。これは違法よ。
かなりきつい口調で、彼に話す女性警官。
その表情は、何か探し出して彼のことをつまみ出したい、という根端があるようないじわるな顔でした。
この車はそこのドミノピザに行くために、友達の車を借りてるから僕の車じゃないんだ。
私たちが乗っているのは、友達の車。
友達の車のナンバープレートは前だけにあり、後部にはプレートがついていませんでした。
だったら免許証を提示して。
言われるがまま、彼は警官に免許証を提示すると、免許証を取り上げてそのままパトカーへ行きました。
何もしていないのに切符を切られる
女性警官がパトカーへ戻り、5分くらいして私たちの元へ戻ってきました。
女性警官は、彼の免許証を見るや否やこう言いました。
やっぱりあなたケベック州の人じゃない。
車のナンバーも片面に張っていないし、ブリティッシュコロンビア州ではナンバープレートは両面張るのが決まりだから、ペナルティ(罰金)を与えます。
ナンバープレートが片面しかついていない車は、友達の車。
何故か、元カレがペナルティを与えられるという、なんとも意味のわからない理由で、切符を切られてしまったのです。
ちょっと待って。
この車はそもそも僕の車じゃないし、ナンバープレートの州はブリティッシュコロンビアじゃなくてアルバータになってるじゃないか。そんな法律聞いたことないよ!
ケロウナはブリティッシュコロンビア州。
友達の車のナンバープレートに書かれている州は、ブリティッシュコロンビア州でなく「アルバータ州」。
ブリティッシュコロンビア州の法律ではなくて、アルバータ州の法律が成立するはず。
この理不尽な対応をしてきた女性警官に対して、さすがに元カレも大抗議。
ですが、相手は警察官。
彼がどんなに主張しても、聞く耳何て持たない警察官は、チケットにサインをして一方的に彼に渡して、何も言わずに私たちの前から去っていきました。
女性警官からもらったチケットはただの言いがかりだった
ホステルへ戻って、友達たちにこの出来事をすぐに話しました。
すると、車を貸してくれた友達がこう言いました。
女性警官は片面だけのナンバープレートは違法って言ってたけど、アルバータ州では片面でも違法じゃないんだよ。
州によって法律が違うことが、友達の一言で明白になったのです。
あの女性警官は、ただ言いがかりをつけたかっただけ。
自分がケベック州出身という理由で失礼な態度を取る人が時々いたけど、こんなに理不尽なことをされたのは初めてだよ。
ケベック州から出て生活をすると、日常生活でちょっとした些細な偏見や心無いことを言ってくる人がいても、警察官のような権力のあるような人から、露骨な差別を受けたのが今回で初めてでした。
この状況にどうしても納得ができなかった私たちは、ICBC(ブリティッシュコロンビア州で自動車の免許証・IDや保険などを扱っている機関)へ行き、女性警官から受けたペナルティについて相談へ行くことに。
すると、ICBCのスタッフからは「このペナルティはおかしい。支払う必要はない」と判断。
彼が女性警察官から受けたペナルティは、却下されました。
カナダ国内で英語圏とフランス語圏間で嫌い合う?
カナダは公用語が、「英語」と「フランス語」2か国あります。
カナダのほとんどの州は英語圏、ケベック州のほとんどの区、オンタリオ州・ニューブランズウィ ック州ではいくつかの区でフランス語が第一言語として話されています。
カナダの人たちに話を聞くと、英語圏とフランス語圏で派閥みたいなものがやはり存在するのが現実なんだとか。
フランス植民地であったケベックがイギリス軍に敗れて、イギリス領となったケベック州。
イギリス領になっても、ケベック州に住んでいる人はフランス系住民で、完全にイギリスのものにはならなかった唯一の州です。
そんな歴史的背景があるカナダでは、現在も英語圏の人とフランス語圏の人たちの間でいがみ合いが起こってしまう理由にもなっています。
私がカナダに住んでいたときは、フランス系カナダ人の人たちにもたくさん出会いましたし、実際にケベック州にも住んだこともあります。
「ケベック出身の人が他州に行くと、不当な対応を顕著に取る人に出会うことがある。」
と話す人はたくさんいました。
反対に、英語圏出身の人がケベック州にきても、同じことが少なからずあるはずです。
日本でも極端なことを言うと、関西VS関東でもいがみ合う部分はあるし、隣りの県同士で嫌い合うこともあります。
だけど、県が違うからという理由で車の罰金を取られることなんて、日本では見たこともないし聞いたこともない。
カナダの差別の闇を見たような気持ちになりました。
まとめ
日本に住んでいると、なかなか人種差別に対して実感がわきません。
ですが多国籍国家の国だと、日本では考えられないような差別が、日常生活の中にも潜んでいることを初めて体験したカナダでの生活。
外国人の私ではなく、生まれ育ったカナダ人の元カレが、他の州で差別に遭遇する場面を見て、カナダの差別の闇が垣間見えてしまいました。
どんなに優しい国民の人たちがいるとはいえ、どんなレベルであっても差別をする人がいることには変わりません。
理不尽なペナルティを課した女性警官を見て、自分はあんな風に人を見た目や偏見の目で見たくないとお反面教師に思えた出来事になりました。
単一国家の日本でも差別が0ではないことも事実。
どんな状況では、あってもやっぱり差別はあってはなりません。
あなたは、他国で理不尽な対応をされたことはありますか?
ケベック州のモントリオールでも感情をあらわにするウェイターに遭遇したお話もあります。
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